しかしその止める立場の法務省が今、全く力がなくなっている。 そして、供与の時期も、多くが、7月4日の公示の1か月以上前で、3か月以上前のものもあり、参議院選挙での「投票」「票の取りまとめ」との関係が相当希薄であることは否定できない。
ところが今回の河井氏の買収というのは、選挙から3か月ぐらい前のものが中心で、突然参議院選の候補に担ぎ出した河井案里氏の地盤を作ってあげなくてはならないということで、有力者にいろいろ働き掛けをして、その費用が掛かったということ。 しかし、県内の首長・議員などの政治家に県連経由で活動資金を流すことができない。 現金を受け取った地方議員らが出廷し、「票の取りまとめの趣旨だった」と話しているが、具体的な内容は出てこず、夫妻が共謀していたという決定的な証言も出ていない。
「今の菅氏の栄華は、この河井案里氏の選挙で、最大の首相候補の岸田氏に勝ったことだと推測。 解き明かされる「謎」 上記の推認のとおりだとすると、これまで、本件について「謎」であったことのいくつかが解き明かされることになる。 公選法では買収罪について、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束」(221条1項1号)をすることと規定しています。
18官邸は焦ったはずです。 現金を受領したとされる相手が、「案里氏を当選させる目的で渡された金であること」と「自由に使ってよい金であること」の認識を持って受領したことが立証できれば、買収罪の立証は可能なのだ。 そこで考え出されたのが検事の定年延長だったわけです。
これらが認められれば、起訴事実の3分の2以上を占める公選法違反事実が無罪になることも考えられます。
今後の公判の展開は 以上のような、検察、弁護双方の冒陳から、今後の公判の展開を予想してみたい。
11「地盤培養行為」ではなく、「票のとりまとめのための買収」だという検察の主張を支える証拠はかなり薄弱だと思います。
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