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道也の三たび去ったのは、好んで自から窮地に 陥 ( おちい )るためではない。 松居大悟監督による映画「アイスと雨音」、「君が君で君だ」のプロデュース。 脳味噌は 涸 ( か )れる、舌は 爛 ( ただ )れる、筆は何本でも折れる、それでも世の中が云う事を聞かなければそれまでである。
20高いと知りながらも低きにつくのは、自から多年の教育を受けながら、この教育の結果がもたらした財宝を 床下 ( ゆかした )に 埋 ( うず )むるようなものである。
6あすこの社長もきっとあんな奴に 違 ( ちがい )ない」 「ひどく 癪 ( しゃく )に 障 ( さわ )ったものだね。
16ああ云う美くしい所へ行くと、好い心持ちになって、翻訳もはかが行くぜ」 「そうかな。 もう少し切り込みたいと云う 矢先 ( やさき )へ持って来て、ざああと水を 懸 ( か )けるのが中野君の例である。 いえね、実はね、今夜あたり君を誘って繰り出そうと思っていたんだ。
今でも覚えているが、 夜 ( よ )る十五六人で隊を組んで道也先生の 家 ( うち )の前へ行ってワーって 吶喊 ( とっかん )して二つ三つ石を投げ込んで来るんだ」 「乱暴だね。 そんな奴が教師にいるかい」 「いるとも。 「卒業祝いさ」 「今頃卒業祝いか」と高柳君は手のついた 洋盃 ( コップ )を下へおろしてしまった。
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