病気をこじらせますと 癒 ( なお )りにくくなりますから、早くためしてごらんになったらいいでしょう」 こんなことを言って勧めたので、源氏はその山から修験者を自邸へ招こうとした。
源氏は哀れに思って聞いていた。 秋の夕暮れは、いつもにも増して、心の休まる間もなく思い乱れている人のことに心を向けさせ、無理矢理にでもそのゆかりの人を尋ねたいという気持ちも強くていらっしゃるのだろう。
18 広げたるやうに ガ行下二段動詞「広ぐ」の連用形+完了の助動詞「たり」の連体形+比況の助動詞「やうなり」の連用形。 「静かにあそばせよ」 と言っていた。 「こうした御旅行などにはぜひお供をしようと思っていますのに、お知らせがなくて」 などと恨んで、 「美しい花の下で遊ぶ時間が許されないですぐにお帰りのお供をするのは惜しくてならないことですね」 とも言っていた。
1324 見上げたる ガ行下二段動詞「見上ぐ」の連用形+完了の助動詞「たり」の連体形。 いとあやしきさまを人や見つらむ。 「言ふ」の尊敬語で、 僧都に対する敬意。
特別に変わったよさはありませんが、ただそこから海のほうをながめた景色はどこよりもよく 纏 ( まとま )っております。 意味は「逃がしてしまった」。 [現代語訳] 藤壺宮も、やはりとても情けないわが身であったと、思い嘆いておられるので、体調の悪さもひどくなられて、早く参内するようにとの勅使が、しきりにあるのだが、参内する気持ちも固まらない。